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「面白いから」と言ってしまえばそれ以上の理由はないのですが、面白くても世間の日の目を見ず埋もれていってしまう本も少なくないはずです。
そもそも、児童書としては長すぎる(厚すぎる)、という理由で多くの出版社に拒否されてしまったくらいですから、うっかりすれば埋もれてしまったかもしれないのです。
…というわけで、ここでは埋もれなかったワケです。
1997年の6月に英国で出版された初版本は500部のみ、ハードカバー本は300部だけでした。売り出しは順調だったようですが、起爆剤となったのは、スカラスティック社がオークションで105,000ドルという高額を付け、米国での「〜賢者の石」の出版権を獲得したことです。
ローリングさんがブルームスベリー社から貰った「〜賢者の石」の原稿料は2500ポンド(約55万円)だったそうですから、破格と言える金額です。
無名の作家の処女作になぜそんな高額?ということで、注目を浴びました。
この頃には、ローリングさんは既に教師の職を得ていたようですが、「〜賢者の石」はいわゆる生活保護を受けながらの執筆で、ローリングさんがシングルマザーだということから好奇心の的になります。
生活保護を受けていたことと、主にカフェで執筆したという事実に、勝手な尾ひれがついて広まり、家には暖房具がなかったのでカフェで書いた、だの、紙を買うお金がなかったからカフェのナプキンに書いただの、事実無根の話が広まりました。
そんな人が書いた話が面白いというならば試しに一度読んでみるか、ということで手にする人が増え、実際面白いので、瞬く間に販売部数を伸ばしていったというわけです。
スカラスティック社からの前金を受け取ったあと、ローリングさんは教師を辞め執筆に専念できるようになりました。
今でも、苦労した人の成功物語として、残念ながら、事実無根の話が語られているようです。
ローリングさんがカフェで執筆したのは、家に暖房具がなかったわけではなく、コーヒーを飲みながら書きたかったためで、執筆に夢中になっている間は、コーヒーを自分で入れる手間暇さえ惜しいからだそうです。
…なんとなく、その気持ちはわかるような気がしますね。
ちなみに、コピーするお金がもったいないから、すべて原稿を自分でタイプしなおした、というのは本当のようです。